病理部のポリクリ6日目。
今日も朝9時から学校へ行った。
午前中は、F先生による講義があった。
日記には書かなかったけど、このF先生は、先週の標本作り実習を指導してくれた先生だ。
とても天然で、見てると面白かった。
先週は、顕微鏡で見たい病変部を切り出すという作業を指導してもらった。
患者さんの名前が書かれた袋から、手術で摘出された臓器を取り出し、その病変部（ガンなど）をスライドの大きさに切り出す作業である。
この先生はとても天然で、マジメに先生の指導を受けつつも、先生の天然ボケに笑いが何度もこみあげてきた。
最初の事件は、「メガネ」だった。
この先生のメガネはとても締め付けがゆるいらしく、下を向いて作業をすると、何度もメガネがずれ落ちそうになった。
手は患者さんの臓器を触っていて血まみれなので、二の腕とかでずれたメガネを何度も上げていた。
しかし、俺らの指導に夢中になってたら本気でメガネが落ちそうになり、思わず血まみれの手でメガネを触ってしまっていた。
ぷぷぷっ！
もう1つの事件は、「袋」だった。
患者さんの名前が書かれた袋から臓器を取り出し、切り出しを行って臓器を袋に戻す際、「絶対に袋を間違えちゃダメだよ。別の患者さんの袋に入れちゃったら、誤診につながって大変なことになるからね！」と注意を受けた。
その作業場では、検査技師さんも作業を行っていたのだが、説明の直後、その技師さんが「先生、これ、間違ってませんか？」と言った。
何かトラブルが起こったらしい。
確認の結果、この先生が袋を間違えて臓器を戻していたことが判明した。
しかも、俺たちにわざわざ説明していたときに戻していた臓器だった。
「間違えるな」と言いながら、間違いの見本を見せていたということで、「これってネタ？ ツッコミ待ち？」と本気で悩んだ。
ぷぷぷっ！
そんな天然の先生なので、今日の講義もちょっと期待していたが、ずり落ちそうなメガネをしょっちゅう直す以外は、何にも面白いところは無く、何事もなく講義は終わった。
この先生は、俺たちの2病理グループの症例担当の先生でもあるので、3人で質問をすることにした。
イスから立ち上がって帰りかけていた先生は、俺たちに呼び止められ、ビデオの巻き戻しみたいに後ろ歩きでイスまで戻り、再び座ろうとした。
すると、ズドーン！
って、ざっけんな！
イスに座り損なってこける大人、初めて見たし！
あんた、どんだけ天然なんだよ！
もっと遅く生まれて、同じポリクリ班だったら良かったのに！
ぷぷぷっ！
そんな感じで、午前中はこの先生に笑わせてもらい、午後はひたすらレポート作りを行った。
夕食は弁当を買って病理の部屋で食べ、夜11時半まで頑張った。
よし、少しは形になってきたにゃー。
おっけーおっけー！
その帰り、アオヤマくんと2人でゴミ捨てに行った。
昼食のゴミ、夕食の弁当箱、ペットボトル、空き缶など、班員6人で出した1日分のゴミを2人で捨てに行った。
ただでさえカバンやノートパソコンで荷物が多い中、2人とも両手いっぱいにゴミを運んだ。
荷物の多さに手をプルプルさせながら、やっとのことでゴミ箱にたどり着き、俺は大量のゴミをゴミ箱に投げ捨てた。
・・・ぽいっちょ。
次にアオヤマくんも、大量のゴミをゴミ箱に投げ捨てた。
・・・ぽいっちょ・・・ドンっ！
え？
何の「ドンっ！」？
・・・。
・・・・・・。
って、ざっけんな！
おまえ、ゴミを投げ捨てたのと一緒に、間違えて自分のノートパソコンも投げ捨てちゃったのかよ！
いくら、自分の荷物とゴミを同時に持ってたとしても、普通間違えないだろ！
ぷぷぷっ！
