あわにゃん日記

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担当患者

2内科のポリクリ最終日。
今日は昼2時から、教授の前で2週間担当した患者さんの症例発表だ。
と言うわけで、昼過ぎに学校へ。


初日にも書いたけど、2内科ではポリクリ班を3人ずつの2班に分けられ、それぞれ1人ずつの担当患者さんを決められた。
俺は、アオヤマくんイシイさんと同じ班になり、2週間一緒に担当患者さんを診てきた。
でも、俺はこの2週間はドラクエなどで忙しく、あんまりやる気がなかったので、2人に頼りっぱなしだった。
結局、発表のレポート作成も、ほとんど2人にやってもらっちゃったにゃー。
つぁはぁ〜。


そして、発表が始まった。
イシイさんはそういうのが上手いので、彼女が1人でしゃべりまくっていた。
アオヤマくんも、調べてきた治療法などについて、少し発表していた。
えーっと、俺は・・・。


結局、1時間の発表の間、俺は一言もしゃべらなかった。
でも、無事に終わった。
いやー、2人にはお世話になったにゃー。
って言うか、あんまり働かなくて申し訳なかったにゃー。
来週からの脳外科は真面目にやるかー。
だはー。


その後、2週間お世話になった担当患者さんのもとへ、3人で挨拶に行った。
そして、イシイさんは帰ったけど、俺とアオヤマくんは、別の患者さんの病室へ挨拶に行った。
この患者さんは、4月の初め、最初のポリクリである1内科のときに担当患者さんだった人だ。
1内科のポリクリが終わった後、ずっと会ってなかったけど、最近は2内科に入院されているようで、偶然また再会した。
俺もアオヤマくんも、人生初の担当患者さんだったので、特別な存在の人だ。


この人はいい人で、俺たちにとても優しくしてくれる。
しかし、難点が一つある。
話がめちゃくちゃ長いのだ。
1度訪れると、軽く1時間くらいは拘束される。
俺もアオヤマくんも、そういうのを上手く切り上げるのが下手なので、いつも長時間話を聞き続ける羽目になっている。


「2内科の実習は今日で終わりです。またしばらく会う機会が無くなりますが、お元気で。」などと挨拶した。
「そうか。寂しくなるね。」などと患者のおじいさん。
そして、今日の長話の幕が開けた・・・。


30分くらい経って、そろそろ帰りたいと思ってる頃に、お酒の話になった。
すると、アオヤマくんが「この人、お酒大好きなんですよ〜!」などと俺に話を振って来た。
「おお、そうなのか!」とおじいさん。
はぁ、まぁ・・・。
家ではあんまり飲まないですけど、飲み会とかは好きですね。
って、ざっけんな、アオヤマ!
俺に話を振ってんじゃねーよ!
また話が長くなりそうじゃねーか!


「じゃあ、歌は?」とおじいさん。
歌ですか?
まあ、カラオケは好きですね。
だはー。


そう言った瞬間、おじいさんの目が光った。
「カラオケなら、いい店がある!」と言ったおじいさんは、紙とペンを取り出し、地図を書き始めた。
「ここを右に曲がって、消防署があって、その道を・・・」などと、おじいさんは止まらなかった。
しばらく適当に聞いていたが、目的地に達したらしい。
おじいさんは地図に二重丸を付けた。


「ここが『さざんか』っていう店よ。歌えるし、酒も飲める。週に1回、演歌の先生が来て、指導もしてくれるんよ。」とおじいさん。
・・・。
・・・・・・。
って、ざっけんな!
演歌かよ!
『さざんか』って、思いっきりスナック系じゃねーか!
全く興味ねーし!


「いい店ですね〜。」などと適当に答えた。
すると、「あんた、いつがヒマね?」とおじいさん。
・・・。
・・・・・・。
って、ざっけんな!
連れてってくれようとしてんのかよ!
ありがた迷惑だし!
その前に、あんたと俺じゃ、歌の趣味が全く違うだろ!


しかし、そんなことを言える訳もなく、「当分は忙しいですねー。夏休みは広島に帰りますし。」などと逃げた。
すると、「じゃあ、どうしようかね。あ、あんた、携帯電話持っとっちゃろ?」とおじいさん。
・・・。
・・・・・・。
って、ざっけんな!
俺の連絡先知ろうとしてんのかよ!
初めてジジイにケータイ番号聞かれたし!
面倒なことになりそうじゃねーか!
絶対教えないし!


「ケータイは持ってますけど、自分の電話番号、覚えてないんですよ。」などと逃げた。
すると、再び紙とペンを取り出し、おじいさんはまた地図を書き始めた。
「ここが大学病院とするやろ? そしたら、あんたの家はどこね?」とおじいさん。
・・・。
・・・・・・。
って、ざっけんな!
今度は俺の家を聞いてくるのかよ!
わざわざ俺んちに迎えに来てくれるつもりかよ!


「ちょっと、俺の家は分かりにくいところにあるんですよ。地図に書きようがない場所なんで・・・。」などと、訳わかんないことを言って逃げた。
すると、おじいさんは自分で勝手に大学周辺の地図を書き始め、「この辺に学生が住んどるようなアパートがいっぱいあるやろ? この辺ね?」とか、「じゃあ、こっちの方ね?」などと次から次に地図を書いては質問してきた。
・・・。
・・・・・・。
って、ざっけんな!
どんだけしぶといんだよ!
そろそろ諦めろよ!
その前に、なんでこの辺の地理にそんなに詳しいんだよ!


「その地図、どこがどこなのか、ちょっと分かんなくなってきました」などと逃げた。
その後も攻防は続いたが、「暇になったら、また病室に来ますんで、そのときにでも連絡先教えますよ。」とか適当なことを言って、何とか病室を後にした。
あー、疲れたにゃー。
つぁはぁ〜。


帰り際、「せっかくこうやって友達になったんだから、是非行こう」みたいなことを言われた。
って、ざっけんな!
友達だと思われてたのかよ!
昨日、ヒゲ教授に、「医者と患者の距離は難しい。両者は『対等』であるべきだが、決して『友達』ではない。」って教わったばっかりだし!


あと、困ってる俺をずっと隣で笑ってたアオヤマ、ざっけんなー!
クスクス笑ってないで、少しは俺を助けろよ!
元はと言えば、おまえが俺に話を振ったせいだからな!
ざっけんなー!