今日は午前中のみ授業。
だが、起きられなかった。
ま、朝7時に寝たんじゃ、朝8時40分からの授業には起きられないわな。
やっぱ、俺って腐ってる。
でも、こんな自分が好き。
結局、昼3時に起き、部活に行った。
今日はなぜか、キャプテン・タナカに「おまえ、今日すげえやる気あるなぁ」って褒められた。
でも、俺としてはいつもと同じテンション。
いつも頑張ってるつもりなんだけどな。
ま、いいや。
その後、今日もミヨシと2人でメシを食った。
ミヨシが、行ったことのない定食屋に連れてってくれた。
ありがとう。
でも、微妙な店だった。
1人で帰宅してのんびりしていたら、ナカマタがやって来た。
それから、タナカ・ミムさん・リッチョルが相次いでやって来た。
すっかりこの家も、1年の頃の様にたまり場になっちゃったな。
なんでだろう。
やっぱ、さゆりがいなくなったからか。
っぜーよ!
ナカマタは、座椅子でマンガを読んでいた。
タナカは、ソファーで野球ゲームをしていた。
リッチョルは、パソコンでムフフなビデオを見ていた。
ミムさんは、食卓で勉強をしていた。
俺は、ビールを飲みながらみんなを観察していた。
って、ミムさんなんで勉強してるの!?
この男も、変わったなぁ。
妙に小利口になってしまった。
出逢った頃の彼は、もっとバカだった。
無鉄砲な男だった。
あの頃のミムさんが好きだった・・・。
俺が1つ先輩のミムさんに出会ったのは、入学したての4月、野球部に入部を決めたときだ。
爽やかな背の高い男前のミムさんを見て、俺は素直に「素敵だ」と思った。
1年先に入学したミムさんだけど、なぜか俺と同じ1年生だった。
先輩だけど、同い年ということで、気兼ねなく話せた。
俺が広島、ミムさんが岡山出身ということで、話題が通じることも多かった。
そんな俺たちが打ち解けるのに、時間は必要なかった。
ミムさんは俺の家に毎晩のようにやって来た。
やって来ては、「今日○○ちゃんと廊下でバッタリ逢った」とか、「○○ちゃんが話しかけてくれた」とか、些細なことをとても楽しそうに話してくれた。
そんなミムさんのバカな話を聴くのが楽しかった。
ミムさんは俺には何でも話してくれたし、俺も何でも話せた。
「先輩‐後輩」の関係を越え、ミムさんは「親友」だった。
だが、今はどうだろう。
彼は変わってしまった。
出席を取らない授業にも行くし、試験前日にカラオケに行くこともなくなった。
協力してカンペを作ることもなくなったし、エロい飲み会にも呼んでくれなくなった。
「あの頃のミムさんはもういないんだな」って、俺は持っていた缶ビールを一気に飲み干した。
こんな淋しい気持ち、さゆりと別れた夜以来だ。
ああ、あの頃のミムさんが好きだった。
だが、次の瞬間、ミムさんは歌を歌い始めた。
黙ってそれを聴いてると、ミムさんの歌う歌詞は原曲と違っていることに気付いた。
ラブバラードの歌詞を、ことごとく女の子の名前に変えて歌っていた。
1曲、2曲、3曲と、ミムさんの歌を聴いていた。
曲が変わるたびに、登場する女の子の名前が変わっていた。
やっぱ、この男はバカだ。
どうしようもねえほど、バカだ。
でも、こんなミムさんが好き。