あわにゃん日記

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入局宣言

医師になって、まだたったの1年半。
それでも、これまで数え切れぬほどたくさんの患者さんたちと関わってきた。
長く関わった患者さんもいれば、外来で5分間だけしか関わらなかった患者さんもいる。
心肺停止状態で救急車で運ばれてきて、そのまま死亡確認しただけのような患者さんもいた。


その中でも、最も心に残っているのは、2011年6月1日〜7月31日、血液内科での研修中に2ヶ月間フルで担当させてもらったおばあちゃんだ。
あわにゃん日記ヘビー読者ならお気付きだろうが、2011年8月4日の日記に登場したおばあちゃんだ。


今だってまだ役立たずな研修医だけど、今よりもっと何もできなかったあの頃の俺を、おばあちゃんは「先生、先生」と呼んで慕ってくれた。
おばあちゃんは「白血病」という大変な病気と闘っているくせに、「先生、今日は昼ごはん食べれたん? ちゃんと睡眠取りよる?」などと、いつも俺の身体を気遣ってくれた。
俺はおばあちゃんに何もしてあげられなかったけど、「先生が会いに来てくれるのが、毎日の楽しみなんよ」と言ってくれた。
そして、2ヶ月の研修終了時の別れでの、「先生と出逢えて良かった…」と目に涙を溜めながら無理して作ったおばあちゃんの最後の笑顔は、今も鮮明に記憶に残っている…。


その別れから4日後、おばあちゃんは亡くなった。
患者が亡くなってあんなに泣いたのは、これから先、どんなに長く医者をやったって、もう無いかもしれない。
あの時、日記には書かなかったけれど、俺は、心に期するものがあった。
そしてそれは、あれから1年半経っても、ちっとも色褪せなかった。




だから、俺は、「血液内科医」になることに決めた。




学生時代からずっと憧れていた整形外科でもなく、
雰囲気最高で居心地が良かった神経内科でもなく、
研修生活の中で最も憧れた指導医がいた呼吸器内科でもなく、
俺は血液内科医になって、今後の人生を白血病と闘って生きていきたいと思った。


そして、今日の夕方、俺は血液内科の医局に挨拶に伺い、現在教授不在のため准教授に入局願いをした。
准教授はとても喜んで下さり、今後の説明などをした後、「これから宜しくね」と右手を差し伸べて下さった。
「こちらこそ、宜しくお願いします!」と准教授とがっちり握手をし、俺は無事、血液内科に入局させていただけることとなった。
2013年4月から、俺は血液内科医としての道を歩み始める。


その道は、とても険しいものだろう。
人の死と向き合うことの多い科だから、仕事はかなり忙しいだろうし、つらい思いもたくさんするだろう。
でも、たとえどんなに険しくても、この道が俺の人生を最も輝かせてくれるものだと、俺は信じている。
いつか、白血病で亡くなる人がこの世からいなくなるまで、俺は歩み続けていきたい。
あのおばあちゃんとの出逢えたことを、大切にしたいから…。






整形外科や神経内科を始め、俺なんかを勧誘して下さった科の先生、ありがとうございました。
そして、すみませんでした。
全ての医療人の皆様、全国の読者の皆様、今後とも宜しくお願いします。
だはー。