唐突だが、俺は朝風呂派である。
いくら野球で汚くなって帰宅しても、滅多に風呂に入ることはなく、そのまま寝てしまう。
そして、次の日の朝起きて風呂に入り、学校へ行くのである。
朝起きて風呂に入ると、一気に目が覚めるから好きだ。
そして、爽やかな気分で外出できるから好きだ。
だはー。
以前、このスタイルを否定されたことがある。
「風呂に入らずに寝るなんて、汚い」と。
って、ざっけんな!
俺に言わせたら、寝汗かいたあと、そのまま朝出かける方が汚いし!
しかし、このスタイルは俺にとって、致命的な欠点がある。
それは、学校をサボり、夕方に起きて部活に行く日である。
そんな日は夕方4時に起き、15分間風呂に入ったあと、4時半から野球部の練習に行く。
練習では、最初のノックですぐに汗まみれの泥まみれになってしまう。
そうなると、俺がキレイな体だったのは、1日の中で夕方4時15分〜4時30分だけということになる。
今日もそんな日だった。
って、ざっけんな!
30分後には泥まみれになるのに、なんで俺は風呂に入ってるんだよ!
もはや、昨日の部活で汚れた体を洗っているのか、これから汚れるために風呂に入っているのか分かんねえし!
夜8時過ぎ、部活から帰宅した。
帰宅すると、俺は風呂に入った。
なぜなら、今夜はこれから明日の試験へ向けて、ナカマタとの勉強会があるからだ。
朝風呂派と力説したばっかりだけど、帰宅後に誰かに会う場合は例外的に風呂に入る。
ざっけんな!
じゃないと汗くさいだろ!
夜10時頃、ナカマタがやって来た。
基本的に俺は誰かと一緒に勉強すると、気が散ってあまり集中できない。
でも、ナカマタなら一緒に勉強しても苦にならないと思って、彼からの「一緒に勉強しません?」という誘いを受けた。
どうせ1人だったら、集中する・しない以前に、勉強自体しないかもしれないしな。
だはー。
勉強会の冒頭、ナカマタは俺に、「話しかけたらキレます。質問したら殺します。居眠りしたらビンタです。」と宣言した。
「ざっけんな! どんな後輩だよ!」と一瞬思ったけれど、これが2人が共に勉強に集中するには最善の方法なんだと納得した。
勉強を始めてしばらくすると、ナカマタからもらった資料の中で、意味の分からない文章にぶち当たった。
でも、質問したら殺される、殺されるよりは分からないままの方がマシだと思って、その問題は飛ばしておいた。
だはー。
2人無言で、ずっと勉強した。
数時間勉強して、俺が休憩に入ったら、ナカマタも休憩に入った。
久しぶりにナカマタと会話した。
ナカマタは「なんで何もしゃべらないんですか? まさか、俺の宣言を本当に守ってるんですか?」と笑った。
ざっけんな!
しゃべって良かったのかよ!
おまえの殺意を感じたから、殺されないように頑張って勉強しちゃったじゃねーか!
休憩中、ミヨシの話題になり、戦国時代を覗いてみた。
すると、川中島の合戦場にミヨシがいた。
ナカマタが「ミヨちゃん、差し入れまだ?」と、チャットでミヨシをおちょくっていた。
「ざっけんな!」と答えるミヨシに対して、ナカマタはひるむことなく、「モスでいいよ。ライスバーガー豚しょうが焼きでいいよ」などと言っていた。
あまりの俺らのしつこさに耐えかねたミヨシは、「っぜーよ! もう寝るし!」と言って、戦国時代から消えてしまった。
だはー。
勉強に再び戻って数十分後、玄関のドアが開いた。
ん? 誰だ?
・・・ミヨシだった。
そして、ミヨシの手には、モスバーガーの袋!
なにぃぃぃ!
本当に買ってきたのかよ!
ミヨシは、「ざっけんな! 深夜のモスは店員が1人しかいなくて、なのに客は多くて、30分も待たされたじゃねーか! しかも、3000円もかかったじゃねーか!」と言っていた。
暇つぶしにからかってただけなのだが、本当に買ってくるとは・・・。
2人ですっかり恐縮してしまった。
ミヨシさん、ありがとうございました。
だはー。
その後、昨日から勉強を始めていたナカマタは深夜4時頃に眠り、今夜始めたばかりの俺は徹夜で勉強した。
ま、明日は何とかなるだろう。
たぶん・・・。