あわにゃん日記

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大分の山奥の旅館

朝6時、ミヨシの車が迎えに来た。
そして、ミヨシの車に乗り込んだ俺は、2人で北へ向かった。


俺の「北の寒いとこへ行きたい」という要望と、ミヨシの「アワヤとドライブしたい」という要望を同時に叶えるため、目的地は大分の山奥の温泉となった。
留年した2人は、運転を交代しながら、5時間かけて目的地へ到着した。
到着し、しばらくその村を探索し、夕方に旅館に入った。


予約していた旅館は、1泊3000円弱の、その地域で一番安い旅館。
料理もサービスも何もない、素泊まりの旅館だ。
もはや「旅館」と言うより、「老人の家の一室」と言った方が相応しいかもしれなかった。


旅館の主人は、杖をついた爺さんで、俺たちを部屋に案内してくれた。
案内された部屋は、ここ20年間くらい何も変わっていないような、古びた粗末な6畳の和室だった。
「来る時刻が分かっとれば、前もって部屋を暖めておいてあげられたんじゃがね」と苦笑いしながら、爺さんは暖房のスイッチを入れた。


粗末な部屋だが、窓からの景色だけは良かった。
遠くには山が見え、近くには小川が流れ、それを色んな場所から眺めるように旅館が点在していた。
水が流れない小便器のアンモニア臭はきつかったけど、この貧しい旅館は豊かな心にさせてくれた。


その旅館の、石で作られた露天風呂に入った。
備え付けのシャワーは壊れて冷たい水しか出なかった。
寒さに震えながら体を洗い、飛び込むように湯に浸かった。
急激に暖められた体は、痛いような燃えているような不思議な感覚を発していた。


温泉を満喫した俺たちは、近くの旅館でメシを食い、また宿に戻った。
部屋に備え付けてあったテレビは、100円玉を1枚入れると初めて動いた。
でも、1時間でまた動かなくなった。
2人とも100円玉をそれ以上持っていなかったため、テレビは諦めた。


普段は昼夜逆転しがちな2人だが、夜10時になると自然と眠たくなって、押し入れから小汚い布団を出して眠った。